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カウンセラは勤務地の近隣に居住してはならない

カウンセリングのテキストを読んでいて、心理カウンセラの職業倫理について書いてあったのですが、守秘義務以外にもいろいろな項目があって感心しました。僕は薬学部で医療従事者の倫理について学んだのですが、それ以上に心理カウンセラの職業倫理は厳しいように感じましたので、覚え書きも兼ねて紹介します。



関係性の逸脱や関係の重複があってはならない

カウンセラとクライアントの関係が存在している以上、それ以外の関係が両者の間に存在してはならない、というものです。たとえば、治療を続けるうちに恋愛感情を抱いたりすることはNGです。これは勉強しなくても想像できます。

他の例を挙げると、カウンセラは自分の家族や友達に対してカウンセリングを実施すべきではない、というものもあります。「家族」「友達」という関係がすでに存在しているので、そこに「カウンセラとクライアント」という新たな関係性を成立させると、重複になってしまいます。冷静な対応ができず、カウンセリングの実施に支障が出る可能性があるため、NGだそうです。

そして、カウンセリングを終了した後も友達関係になってはならない、とも書かれていました。もし友達関係になってしまったなら、クライアントの不調が再発したときは、他のカウンセラに対応してもらうことになるそうです。

カウンセラとクライアントは近隣に住むべきではない

「心理カウンセラは勤務地の近隣に居住してはならない」「心理カウンセラは通勤に使用する交通手段を限定する」と規定している病院やカウンセリングルームもあるそうです。これもやはり、カウンセラとクライアントの関係は、あくまで契約上の関係でなければならない、ということのようです。

近隣に住んでいると、たとえば通勤途中や休日などに、電車の中やコンビニでばったり遭遇してしまう可能性があります。そしてクライアントは、自分の状態やカウンセリングについて、担当カウンセラに話してしまうかもしれません。しかし、カウンセリングは、定められた場所や時間でのみ行われるべきであり、そういった場所で話を聞くべきではない、と考えられています。かといって、話しかけてきたクライアントを無視するわけにもいかないので、「近隣に居住しないこと」と最初から規定してしまうわけです。

ブログやSNSでの情報発信には細心の注意を払う

患者の個人情報や病態をSNSで発信することは、もちろんカウンセラ以外の医療従事者も禁止されています。こういった情報漏洩は大問題になるので、患者情報を記録している病院や薬局のパソコンは、USBメモリなどは差せない決まりになっていましたし、インターネットも決められたサイトしかアクセスできないようになっていました。

カウンセラの場合は、そういった個人情報の漏洩がなくても、たとえば「今日は疲れた」というようなことを書き込むだけでも問題になることがあります。つまり、その日カウンセリングを受けたクライアントがそれを読んだときに、「先生に負担をかけている」「治療が順調じゃないんだ」と不安にさせてしまうことがあるからです。

守秘義務は必要だが例外もある

カウンセラが知り得たクライアントの情報は、第三者に漏らしてはいけません。これを守秘義務といいます。

例外的に個人情報を開示しても許されるのは、次のようなケースです。

  • クライアント自身から、他の専門家などへの情報開示の要請があったとき
  • クライアントが医療過誤訴訟を起こし、弁護士などに説明が必要なとき
  • クライアントが虐待の被害者または加害者である可能性があるとき
  • クライアントが自殺する可能性や他者を傷つける可能性があるとき

こういった守秘義務の例外は、カウンセラ以外の職業でも一緒だと思います。抽象すると、「患者自身の求めがあったとき」「誰かに危害が及ぶ可能性があるとき」「訴訟に発展したとき」という3パターンですね。

まとめ

今回は心理カウンセラの職業倫理について紹介しました。

  • カウンセラは患者と私的な関係になってはいけない
  • 自分の家族や友達に対してカウンセリングを実施しない
  • カウンセラは勤務地の近くに居住すべきではない
  • カウンセラはSNSで「疲れた」などと書くべきではない

まとめるとこのようになります。

ミステリーなどで、刑事が医師に事情聴取をする場面で、「守秘義務があるから話せない」ということがありますけど、警察から質問されたくらいでは守秘義務の例外には当たらない、ということでしょうか。知っている方がいたら教えてください。

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このブログの執筆者キカガクです。
平成1年生まれの現役薬剤師。田舎山形の豪雪地帯に在住。現在は小児科クリニックの門前に勤務。メンタルケアに興味があり、心理学周辺を勉強中。SNSで医療や人間関係のヒントを発信しています。
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